今年度も「フォーラム神奈川」は、3月4日横浜市開港記念会館で開催された。例年1階1号室での開催であったが、どうしても予約が取れず残念ながら2階の6室となったが、あまり支障はなかった。

開催日でもう一つの不運が、同日、県民センターで環境団体のイベントが開かれることだ。日程予約の経緯から避けようのないことである。

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3月4日、横浜市開港記念会館で「フォーラム神奈川2017」が開催された

会員へは、開催案内を往復はがきで送ったが、返信はがきは欠席が多かった。会員の出席通知は、例年より20人も少ない31人で止まってしまった。予定の70人は無理でも、せめて50人は超えてほしいと、メール等で再三勧誘したが、辛うじて50人となった。会員以外や、千葉交流会などから参加していただいた。

 

今回のテーマは「エネルギーの完全自給自足を目指す!」である。

“2019年に太陽光発電のFIT(固定価格買い取り制度)10年間が終わる最初の家庭が出てくる。普及が進む太陽光発電の電力は家庭用並み(23~24円/kWh)になって、いわゆるグリッドパリティに達したといえる。われわれは転機を迎える太陽光発電設備を今後どうするか賢く運用することを考えなければなならない。

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積水化学工業の塩氏による講演

当日、講演には、塩 将一氏(積水化学工業 住宅カンパニー 広報・渉外部 技術渉外グループ グループ長)を招き「エネルギーの自給自足に向けた取り組み」と題してお話しいただいた。

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講演する塩将一氏

パリ協定からいかに省エネを推進して地球環境に貢献するか、2019年問題をも視野に、家庭のエネルギー消費の在り方、いわゆるZEH(ネット・ゼロエネルギーハウス)の現状、実際のゼロエネルギー達成住宅について、今後のエネルギー自給自足にどう取り組むか、蓄電池の役割の重要性などについて詳しいお話が聞けた。

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 出席者からの質問も多数あった

質問時間を設けたので、いろいろ質問が出ていた、「太陽電池から充電できる電池はないか」「太陽電池パネルの、災害に対する安全性は」など。

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ご自身のオフグリッド生活の実際を語る佐藤隆哉さん

続いて、佐藤隆哉氏(オフグリッド生活実践者)の「横浜でも電力完全時給はできる~エネルギーの自産自消のすすめ~と題してお話しいただいた。

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 ユーモアいっぱいで会場も盛り上がった佐藤さんの講演

電柱・電線・メーターのない家の生活に踏み切ったいきさつや、メーター検針員が来訪「どこにメーターがあるか」尋ねられ、説明しても納得してもらえなかったこと、ついに東電の偉い人が来て、地中に電線を埋設して“盗電”しているのではないかと疑われたと、ユーモアを交えてお話しされた。「洗濯機も冷蔵庫もエアコンもあります、みなさんと同じ生活をしています」と。このエネルギーで賄えるのは蓄電池のおかげ、フォークリフト用の再生鉛バッテリー(27kWh)で、佐藤家の9日分を賄えるという。太陽電池はパネル8枚1.9kw、将来増設の考慮。

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なかなかないオフグリッド体験談に質問もいっぱい

質問では、「将来子どもさんができたらテレビなどがなくても大丈夫ですか」「断熱材は」「窓の位置などについて」太陽熱温水器について」など細かい質問もたくさん出て、興味津々といったところか。

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PV-Net代表理事・都筑 建氏による講演

都筑 建 氏(PV-Net代表理事)は、「PV-Netの現状とこれから」と題して,2003年発足から今日までの取り組みを簡単に触れて、現在の状況と課題として、・電力自由化で、新電力の選択とサポート。高齢化、少子化、過疎化、・会員のパイオニア意識の希薄化、2019年問題への対処などについて話された。PV-Netの採択プロジェクトについて、例えば、熊本地震PV被害調査、バイパスダイオードの故障調査などについて触れられた。時間不足で、資料を十分に話すことができず、質問時間もとれなかった。

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 都筑さんの「PV-Netの現状とこれから」

最後に地域交流会代表の横谷から、2016年の地域交流会の活動報告があった。会員とのつながりを求めて、毎年最重要イベント「フォーラム神奈川」が今年16回を数えた。毎月「PVかながわ」というニュースレターを発行していること。年1回見学会を行って勉強をしている。ワークショップ「出前発電所を作ろう!」は人気教室だが、資材の調達の難しさなどで、一休みして考える時だか。など映像を交えての報告があった。

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約50名が集まったフォーラムも16:30に予定通り終了

16:30に予定通り終了。17時過ぎから近くに場所を移して懇親会を開いた。講師全員も含めて20名が参加した。自己紹介からいろいろ話に発展、なかなか尽きることがなく、20時近く名残惜しみながら散っていった。 

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フォーラム終了後は懇親会で盛り上がった                     
            
横谷 記