恒例の「フォーラム神奈川2015が無事に終了した。今年は「太陽エネルギーを活かせ!」との統一テーマの下に第1部(午前)第2部(午後)の二部構成にして開催した。

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 1月24日に行われたフォーラム神奈川2015

今回、参加者が少ないのではと心配したが、第1部(午前)は41名、第2部(午後)は63名とまずまずの数であった。特筆されるのは、日本農業新聞のご好意で、最終面に1段の半分くらいの記事を載せてもらったことで、神奈川県のみならず全国に知られて、千葉県や宮城県から参加された方もいました。また、和歌山県御坊市の農林水産課や滋賀県東近江市の方からも電話で問い合わせがありました。

第1部は市民発電所勉強会と銘打って、PV-Netの会員が携わっている太陽光発電所設置についての報告をもとに進めた。

1) ソーラーシェアリングによる市民立太陽光発電所 RENこちゃん3号の設置」
      ~行政と市民のつながりについて~

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講演する武田さん

これは、茅ヶ崎自然エネルギーネットワーク(REN)の運営委員武田俊司氏が講演した。
 
このシステムは茅ヶ崎市西久保にある「五郎兵衛コミュニティーパーク」の畑に、茅ヶ崎市と交渉して許可を得て設置にこぎつけた。規模は、70wのパネル72枚、5.04kwを市民の寄付を募りながらの運営とのことである。未だ60万円不足しているので寄付のお願いもあった。ソーラーシェアリング方式で、作物を栽培しながらソーラー発電を両立させるもので、昨年4月に完成して、稼働中であるとのことだ。

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 質問を受ける武田さん

茅ヶ崎市との協働で、発電量の家庭で消費分を茅ヶ崎おひさまクレジット事業としてGreen電力証書として販売している。そのほか、市の助成金を受けた家の発電量管理とデータ報告会開催や環境教育で出前授業なども行っているとのことだ。

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 講演する武田さん
 
今回の市民立発電所は、ソーラーシェアリングの創始者長島彬氏の指導も得ながら、手作りのシステムである。作業工程の写真などを交えてのわかりやすい説明であった。

2) 集合住宅(マンション)に市民共同発電所を設置について
これは、陸屋根賃貸住宅への導入事例である。PV-Net神奈川地域交流会 会員 ちぇみ 氏
が講演した。

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 講演するちぇみさん
 
2014年3月末にこの事業のキックオフ会議を行って取り組み始めたという。事業体の在り方を巡って、先進の各地域数団体を訪ねて検討し、「NPO原発ゼロ市民共同かわさき発電所」として、先ずは資金調達を、建設協力金として金銭消費貸借契約=「疑似私募債」でスタートすることになったという。

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 集合住宅の市民共同発電所について話すちぇみさん
 
設置場所は、会員でマンションのオーナーの建物に設置することになった。川崎市中原区の築26年の重量鉄骨3階建で、真南の陸屋根で陰になる障害物もなかった。オーナーからの条件は屋上の防水層を傷つけないこと。見積もりを数社からとるが、この条件がネックになって苦労したという。アンカーボルト打たないでやる工法を模索、架台を重しにするコンクリートバラストの基礎とすることにした。それでも心配なので厚いコンクリートの縁(パラペット)にボルトを打ち、そこから腕を出してつなぎとめるなどの工夫をした。

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 ちぇみさんの講演に聞き入る参加者
 
10年以内に投資を回収する方針を立て、建設協力金は、10年後と15年後の2回に分けて会員34人に返済するのだという。設置の詳しい経過の説明があった。
 システムの仕様
・パネル:サンコムソーラー(中国製、多結晶250w)100枚=25kw、出力保証:10年(90%)25年(80%)、10直列×2並列×5セット 真南、傾斜角:5度
・パワコン:ドイツSMA SUNNY BOY 4500TL-JP 4.5kW 5台(ファンレスタイプ)10年保証
      発電量モニタリング装置と連携(発電量、ストリング毎の電圧/電流値)
・発電量遠隔モニタリング SMA SUNNY PORTAL、
・発電量健康診断サイトソーラークリニックの活用
施工業者:(数社から見積、比較して)「エコテック
、施工費=7,538,400円
通電式:2015年2月1日(川崎国際交流センターでイベントもあるそうだ)

第2部 フォーラム
講演Ⅰ 「太陽光発電の安全と法律に関するお話」
講師:加藤 一彦 氏
(産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター システムチーム チーム長)

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産業技術総合研究所 太陽光発電工学研究センター システムチーム チーム長 加藤和彦さん
 
加藤和彦氏は、PVシステムのトラブルについての研究を長年続けていて、PVの大量普及時代において、その貴重な研究については、各地の団体から講演依頼で、引っ張りだこの方である。フォーラム神奈川には2度目の登場となった。

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熱心に加藤さんの話を聞く聴衆
 
現場主義で、産総研の仲間3人と、施工業者などを加えた8名で「PVRessQ!を組織して各地のシステムの不具合点検に取り組んでいる。毎年夏8月には合宿研修会を開催全国から大勢の参加者がある、まだ決まってはいないが、おそらく今年もやるだろう、希望者は申し込んでほしいとのこと。

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PVと法のかかわりについて話す加藤さん
 
今回は、大量普及した太陽光発電設備の品質とは「安全である」として、さまざまなトラブル事例を法律の観点から検証してみる。PVシステムは電気工作物であり、電気事業法に関係している。一般家庭用の太陽光発電システムは「一般用電気工作物」(いわゆる50kw以下)の適用を受ける。主任電気技術者を置かなくてもいいが、その責任はオーナーにあることを認識しなければならないと。

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PVRessQ!の活動について紹介する加藤さん 
 
太陽光発電設備が、他者や他物に加害した場合は、その設備の所有者が責任を負うことになる。われわれシステムの所有者はそのことを自覚して、その保全に努めなければならないのだと。
 
「PVRessQ!」が過去に携わった事故例から、構造計算書がしっかりできているか、その計算書を尋ねたところ、「外力計算」はあるが、耐力計算書がない。これがなければ、そのシステムが安全で、合法的であることの証明はできない。
 
講演Ⅱ 「ソーラーシェアリングの歴史とその展望」
講師:長島 彬 氏  (CHO技術研究所)

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CHO技術研究所 長島 彬氏

長島氏は、ソーラーシェアリングとは地上に降り注ぐ太陽エネルギーをそれぞれの分野で分かち合うことから命名したと。長島氏は植物の光合成から、光飽和点があることを知り、太陽光発電を設置して大電力を得るためには大面積が必要であるという問題に、光が必要以上にあっても役立たないなら、農地に太陽光発電を設置することが可能であると思いついた。

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ソーラーシェアリングについて解説する長島さん

農地全体の面積は広大である、太陽光発電が広い面積を必要とするという弱点を克服することができると気付いたという。2004年特許の出願をしたが、特許が認められるとその技術は一定期間保護されて、広く利用できない。そこで、公共の福祉を最優先するならば、発明の独占期間自体を放棄することが一番望ましいと考えて、取得審査を放棄して誰もが自由に利用できるようにしたのでだという。


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 ソーラーシェアリングについて熱く語る長島さん
 
2009年にHPを作りソーラーシェアリングのし推進を始めた。2010年に千葉県市原市皆吉に実証試験農場を作って、観察をした。
 
★農作物の上に設置する太陽光発電の重要なポイントをあげてみる。
・光を遮りすぎないように適度な間隔をあけてパネルを設置する。熱も逃がせる。
・設置のパネルは、幅を狭めたものを使用。(南北方向に30センチ程度)
・傾斜を自在に設置。台風など強風の時には水平に、雪などは垂直に、可動できること。
・遮光率は32%程度が良い。(光が多すぎると水分が必要以上に蒸散して植物は弱る)
・強固な基礎は必要ない机と同じに組み立てておけばいい、風を逃がせるのでめったに飛ぶことはない。工事費が安価になる。
・支柱の間隔は5メートル以上にすると農業機械が使用できる。

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この面積の農地があれば、日本中の電気がまかなえるのだ!
 
★長島氏が、今後の問題としての指摘したこと
・屋根設置やメガソーラーは、パネルなどの値段が下がっても設置工事費はあまり下がらない。ソーラーシェアリングは設置費が安価で、慣れれば自作が可能だから、1kw20万円程度で設置可能、将来はもっと下げられる。したがって償却年数が減る。
・本格的な推進をするためには「農業基本法や農地法」を改正して現行法の無用な縛りをなくし、届出制にすることが望ましい。
・実証試験の結果パネルの下の南側、日の良く当たるところより北寄り移動した部分のほうが作物の生育が良いことが分かった。光の飽和点が移動するのだと分かった。
これらをまとめて出版したいと、熱っぽく話された。

会員アンケートの結果についての報告  PV-Net神奈川世話人 古峰聖治 氏  

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アンケート結果を報告する古峰さん

3年間ほぼ同じようなアンケートを続けてきた結果、今年の集計101人のシステムは、平均稼働年数:10年8か月、大部分が保証期間の10年を過ぎているということだ。

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「このレッドラインをしたまわるとーーー」古峰さん 

・平均の設備容量:3.6kw ・総発電量:3108MWh  ・順調:71件 ・出力低下:8件
・マークなし:29件など、報告があり、終わりに神奈川地域交流会の歩みを紹介した。

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郵便番号をもとに会員の発電所をマークしてみました

事務局連絡 (横谷代表)◆フォーラムの案内通知2013年まで会費納入をしている会員205人に出したが、返信はがきが来たのが101人、これは大変残念。◆PVカルテの登録をして、毎月の発電量を記録してほしい。 ◆PV健康診断が以前に近い形で完成している、検証が終われば間もなく発表されると思う。以上3点の連絡があった。
       (横谷 記)

※フォーラム当日のアンケート結果がまとまりました。
以下のPDFファイルのリンクでご覧いただけます。 (回収 44 人分)
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「フォーラム神奈川 2015」に関するアンケート結果