今年の見学会は、悩み、気をもみ、やっと出発したが、それでも雨降りの中。
まず、見学地選定に悩み、テーマはいまどきの注目の的、「ソーラーシェアリング」に何とか決めた。

発明者の長島彬氏の実証試験場に絞ったところ、PV-Netの事務局に先を越された。しかし、神奈川は独自にやろうと決心して、長島氏にお願いしたところ、快諾をいただいた。時期は、もう暑い真夏を迎えるので、秋にしようと10月初旬を予定したが長島氏のご都合で水曜日と合わせて10月15日(水)となった。

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天候がすぐれない中、ソーラーシェアリング見学会に行ってきた
 
せっかく千葉まで行くのなら、長島氏の推薦もあって、最近出来上がったばかりの、市原市前環境課長の石川尋志氏の農場も寄ろう。仲間の千葉交流会が手作りしてようやく9月頃出来上がったという「市民発電所」にも足を延ばして、交流を図ろうと欲張った。

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今回行った見学会は東京湾を渡った先の千葉県 

ところが、いよいよ期日が近づくと、まず台風18号がやってくる。日本列島を直撃の構え。何とか6日ごろやり過ごし、これでこの後はお天気だろうとほっとしたら、すぐに台風19号が北上。予備日として17日をとってみたが、バス会社は、秋の行楽シーズンでそんな都合よく配車はできないという。

速く通り過ぎてくれと祈る気持をも知らず顔に、九州の南で時速15キロ。中止も想定しながらバス会社と話したが、「台風でも道が通れれば、バスは出しますよ」そう言われても交通機関が混乱したら参加者が集まれない。19号の進路は日本列島縦断の構え。そこで、参加者全員にメールと電話で、「多少出発を遅らせても実行します、連絡を密に」などと連絡をする始末。

上陸するや否や、時速35キロ、40キロ、50キロと駆け抜けて、前日14日朝は三陸沖へ。天気回復。やれやれ台風一過—と思いきや15日の朝は小雨が降っている。都合の悪い予報は当たるのだ。

それでも、集合時刻8時10分にはほとんどの方がそろい、あと一人と言っているうちに全員そろった。資料配布などは雨でぬれるから車内でということで、定刻8時半に横浜駅西口を出発した。

最初は千葉県匝瑳市飯塚、銚子の手前、千葉交流会の人5人を交えた9人で設立した「市民エネルギーちば合同会社」が手掛けた「市民発電所」を目指した。行きは、湾岸道路経由で向かった。雨降りだが、道路は順調に走れた。途中10分ほどの休憩をとり、予定より少し早く手前の道の駅「ふれあいパーク八日市場に着き、千葉交流会の人たちの出迎えを受けた。

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「匝瑳市民発電所」下の大豆はふっくらよく実っている
 

道案内をしてもらい10分ほどで「匝瑳市民発電所」に到着。車を降りると雨は小降りになって傘はいらないぐらい、天は味方してくれたか。

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栽培作物として大豆がいいらしい

設備の概要は、
●単相3線式、200V低圧受電
●モジュール(アメリソーラー);70W×501枚=35.07kW
●パワーコンディショナー(オムロン)
 5.9kw×5台 = 29.5kW
 4系統入力
 自立運転
 単相2線式
 出力:1.5KVA
●年間推定発電量:38,500kWh
●予算:約900万円
という日本初の市民共同出資型ソーラーシェアリング発電所。6月に着工、毎週土日など休日に作業、平均すると、4人で14日程度、8月に設備完成、9月29日通電を開始した。

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手作りのソーラーシェア発電所 

下の畑は面積が830㎡ほどで、大豆が栽培され、普通の栽培とそん色なくまだ青々と見事にさやが膨らんでいた。苦労したことはと聞くと、配線作業が大変だったとそうだ。

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左、メガネの人が「市民エネルギーちば合同会社の東代表  

11時半に「ふれあいパーク八日市場」に戻り昼食をとることにした。千葉交流会の方が親切に、席を別室に用意しておいてくれた。食事を終わってすぐ12時20分過ぎに出発、長島氏の実証試験場へ向かった。

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「ソーラーシェアリング実証試験場」この説明資料をもっていますか?これを見ながらしっかりと聞いてください 

高速道路を経由して市原市皆吉の実証試験場に14時過ぎに着く予定が、近くに来てから道を探しながら進む。バスの入れるところまで行き、そこから降りて10分ほど歩き14時半近くようやく到着した。

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それぞれの作物にどのような影響があるのか、それを試験しているのです 

長島氏の家の前、物置小屋の庇の下であいさつを交わし、すぐに記念撮影を済ませ、家の裏手の実証農場に行って説明を受けた。「案内資料はありますか、見ながらしっかり聞いてくださいよ」と言いながら、まず資料1ページ。設置方法について。

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 気まぐれな雨がまた降り出した

単管パイプで組み立てるが、机を置く要領、組み立てた足を20、30㎝掘って固い地盤のところに据えるだけ、深く掘る必要はない。

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狭いパネルにしたのは雨だれが少なく、下の作物に影響しないようになのです 

地盤の上にボイド管(足を入れて、その隙間にコンクリートを詰める)を置き単管の足を入れて隙間を固定する。地震や風で吹き飛ばないように、心配なら針金で引っ張っておく。法隆寺も、桂離宮も石の上に置いてあるだけだと強調。

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台風18も19もなんともなかったです。机と同じ置いておくだけです

パネルの幅は29㎝と狭く、しかも、「間隔を空けておくので風圧で飛ばされることはめったにない。台風18・19号でも何の問題も起きていない」

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 物置小屋の庇の下で雨を避け、長島さんの説明を聞く

次は、日本の年間電力使用量について、ソーラーシェアリングで全電力量をまかなうに必要な面積は、100㎞四方の3~2.5倍の面積で足りる。原発などの危険の伴うものを稼働することはない、と持論を展開した。

次に、作物の光飽和点のお話し、実際の作物の生育を観察すると、南側のパネルの影もかからないところはさぞ生育が良いかというと、逆に葉物野菜などは育ちが悪い。それは、日射によって地面が渇き、水分が少なくなるからである。

畑の作物の生育位置をかえたり、パネルの間隔を変えたりして遮光率の変化も試すなど、あらゆる角度からの実証を試みておられる。

雨は少し小降りになってよかったと思ったが、時折思い出したように降り出す、しつこい雨だ。

パネル(モジュール)は、幅290㎜、長さ1,580㎜、厚さ25㎜と狭いものである。出力は70W。なぜ狭いパネルを使うかというと、パネルから雨だれのしずくが作物に落ちると好ましくないので、極力狭くして、広いパネルがあってもソーラーシェアリングには好ましくない。初期は特注していたが、今は市販されている。パネルの高さは、2.5~3m、柱の間隔は5m以上、農業機械が作業できるような間隔を取る。

後半の説明は、ソーラーシェアリングの設置費用と一般の太陽光発電設置費用との比較。足場を組んで、屋根に雨漏りを気遣っての設置費用は、今安くなっても30万円~40万円台/kW。パネルの値段が下がっても設置費用は急激に下がることはない。ソーラーシェアリングは20万円台/kW。自分たちで作業をすればもっと安くできる。

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長島さんの家の前で記念撮影

原子力のコストが安いなどというが、わずかのエネルギーを取った後の使用済み燃料の処分さえ決まっていない。そして放射性廃棄物が人の扱える線量になるのに何十、何百万年かかる。廃炉も同じだ。そんなものを何で選択しようとするのだ。と長島氏の熱弁は続いた。参加者からも、具体的な質問があちこちから出るが、長島さん、よどみなく答えていたのはさすがである。

3時20分、実証試験場を後にして、市原市能満、石川氏の「ソーラーシェアリングへ向かった。
 
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「ソーラーシェアリング縁ga環」にようやく到着すると、ここでも雨がやんできた

私は20分ぐらいで行けると見積もったが40分ぐらいかかった。農場にはトイレがないので、少し手前の、市民センターを石川さんに急きょ紹介してもらいトイレ休憩をした。農場までは道が狭く、バスが入らず2、3百メートル歩いてたどり着いた。また雨が小降りになった。

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ソーラーシェアリング縁ga環の石川さんの説明を熱心に聞き入る見学者 

ソーラーシェアリングは設備認定:平成25年12月13日、農地転用許可:26年4月15日、発電開始:26年6月16日。設備概要、出力:29.7kW、(モジュール出力:35.7kW)モジュール(アメリソーラー)70W、510枚。パワーコンディショナー(田淵電機)3相3線式)9.9kW×3台。遮光率30%、パネルの角度、10度、(今後20度に変更予定)。

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ソーラーシェアリング縁ga環は3機のパワコン

畑の面積995㎡。作付け作物:大豆、落花生、里芋、南瓜(収穫済み)、予定:さつまいも、そら豆。1月間の発電量:(7、8、9月)約3,000~4,000kWh (質問の答え:パイプ等材料費(見積もりベース) 約247万円。電気工事材料(ケーブル等)約46万円)

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 パネルの傾斜が10度だとヘリに汚れがたまるので、20度に変えるつもりです

悩みは、
①茶畑の跡地で、茶の木を抜根したら根が1m以上深く、地盤が軟弱になり、仕方なくパイプ杭を打たざるを得なかった。
②周囲の藪にアライグマ、ハクビシン、イノシシといった害獣が生息、無農薬栽培でモグラが生息、作物が倒れてり枯れたりする被害がある。

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説明資料を配布して設備のいきさつを話すい石川さん 

名称「縁ga環」の由来:素敵なコンセプトのコミュニティカフェの名前を使わせてもらったという。「自然と調和しながら生きる生き方」いろんな人との縁、地域とのつながりを大切に、自然に学ぶ、自然に生きる、自給自足生活、循環型生活を目指して。

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長島さんの指導で、この間隔が遮光率30%です 

ここで見学会を無事に終了、17時5分、アクアライン経由でほぼ予定通り18時半過ぎに出発点の横浜駅西口近くに帰り着いた。参加者は口々に「行ってよかった」と。