今年度最大のイベントを予定通り行うことができたのは、会員各位と世話人の並々ならぬご努力があったからである。ここに、このイベントの大まかな様子を報告する。
午前中の説明・相談会は、案の定出席者は増えず、6名にとどまった。30名ぐらいを期待して資料等を用意したのに、残念でならない。「こんな話はそこらでは聞けないよ」と言いたいところだ。
前半では導入の基本的心得を説明し、後半の約1時間は新しい試みで、全員のグループによる話し合い形式で行ってみた。やはり予想したように、前半の説明が一通り終わったところで2名が退出していった。
4名になってしまったが、残りの4人は熱心に話し合いをしていた。中には既に設置して数カ月経っているが、果たして設置費は適正なのだろうかと、確かめたかったようだ。PVグリーンにも参加したいのだけれどどうしたらいいか。などと詳しい話が出ていた。また、家の屋根の設計図を持ってきて、明りとりの突出部分が二つあるがうまく設置できないものかなど、具体的な相談もあった。
不特定多数の市民に伝達して集まってもらうのはいかに難しいかを、今回も厳しく思い知らされた。
午後のフォーラムには県下の全会員248人に案内と返信用はがきを郵送した。そのうち返信があったのは108通。なんとも回収率の悪いことか、がっかりである。参加予定者は2人ほど欠席しただけで、これもインフルエンザなど、体調を崩されたようだ。
当日、会員以外の参加者も15人ぐらい参加してくれた。出席者名簿で確認したところ、全体で50名だった。会場は一見満席のような感じで、会館の事務の方が「大勢集まりましたねえ」といってくれた。まあまあ、盛況と言えるであろう。
講演Ⅰの「太陽光発電に係る施策の現状と今後の展開について」という、環境省地球環境局温暖化対策課、課長補佐 山本陽介氏のお話しは、
1)太陽光発電の普及状況、
2)環境価値、グリーン電力証書、グリーン熱証書について
3)環境省の取り組み
4)太陽光発電などの電力買取制度について
5)今後の普及に向けて
6)太陽熱利用に関する取り組み
これらの項目について、詳しい資料を元に説明してもらった。特に山本氏は、環境省おいては太陽熱についての担当で、その分野に詳しいようであった。
講演Ⅱの「新しい太陽熱利用」―太陽熱は地球を救う―、矢崎総業株式会社環境エネルギー機器本部環境システム事業部 東部営業部主管の吉広孝行氏の講演は、
1) 京都議定書のCO2削減について、太陽熱利用を見なおそう
2) 家庭で使うエネルギーの6割強が熱利用である
3) エネルギーの適材適所、太陽光は電気に。太陽熱は温水・暖房に。
4) 太陽熱利用は省スペース
5) 東京都をはじめ自治体などの補助金が利用できる
6) 太陽熱利用機器のラインナップ、個々の特徴などを説明
7) 世界の太陽熱利用機器の市場
8) 国や自治体の地球温暖化をめぐる動向
9) 改正省エネ法について
10) 生活者の意識変化
11) 各種給湯器との組み合わせ上のメリット、デメリット
これら盛りだくさんのお話しで、用意した資料の三分の一ほどを残して時間切れになった。
「真空管式太陽熱給湯システムによる太陽エネルギーの利用」という田辺会員の研究発表は、NEDOの「平成22年度 住宅・建築物高効率エネルギーシステム導入促進補助事業」の補助金を利用するため、家のリホームと兼ねて、潜熱回収型給湯システムを導入したもので、まだ2、3カ月の運転しかしておらず、しかも、冬場の条件の厳しいときであるが、その詳しいデータを披露しての説明であった。いろいろな場所での温度測定、カロリーメーターなど各種計器を駆使して、綿密なデータを収集しようとする熱心な探求の姿勢に敬服した。今後の結果も期待したい。
質問等は、環境省に対しては、「太陽光発電等について環境省と経産省とはどちらが主管しているのか」、「全量買い取りになればグリーン電力証書は存続するのか」など厳しいし質問が出ていた。
矢崎総業へは、「設置をどのようにするか」、「太陽光発電との併用で、太陽光発電システムを冷やした水を利用するようなハイブリットのシステムを作ってはどうか」など提案もあり、時間があればどこまでも話が続きそうだった。
懇親会は参加予定者が辞退するなどで、結局14名にとどまり、20名の予約なのに困ってしまった。講演者の山本さんと吉広さん、お二人も加わっていただき、会としては盛り上がっていた。料理もなかなかおいしとの声。本音の話も飛び交い、大変有意義なひとときであった。
・・・・・・・・・・・・・・・世話人 横谷 記
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